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History
義経記
Japanese BooksWhale Edition by Anonymous
源義経の伝説と悲劇を語る、日本中世軍記物語の代表作。
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Book introduction
義経記
『義経記』は、源義経の武勇、逃避、忠義、悲劇を中心に、日本文学に深く根づいた英雄像を形づくる物語です。本版は日本語原文を読みやすく整え、軍記物語と義経伝説の理解に役立ちます。
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This edition is based on a public domain text and has been prepared for digital reading by BooksWhale.
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『義経記』は中世に成立した軍記物語で、成立から長い年月が経過しています。この時代性は日本語原典のパブリックドメイン根拠となります。
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義経記
Preview chapter義朝都落の事Preview
本朝の昔を尋ぬれば、田村、利仁、将門、純友、保昌、頼光、漢の樊■、張良は武勇と雖も名をのみ聞きて目には見ず。目のあたりに芸を世にほどこし、万事の、目を驚かし給ひしは、下野の左馬頭義朝の末の子、九郎義経とて、我が朝にならびなき名将軍にておはしけり。父義朝は平治元年十二月二十七日に衛門督藤原信頼卿に与して、京の軍に打ち負けぬ。重代の郎等共皆討たれしかば、其の勢二十余騎になりて、東国の方へぞ落ち給ひける。成人の子供をば引き具して、幼ひ達をば都に棄ててぞ落ちられける。嫡子鎌倉の悪源太義平、次男中宮大夫進朝長十六、三男右兵衛佐頼朝十二になる。悪源太をば北国の勢を具せよとて越前へ下す。それも叶はざるにや、近江の石山寺に篭りけるを、平家聞きつけ、妹尾、難波を差し遣はして、都へ上り、六条河原にて斬られけり。弟の朝長も山賊が射ける矢に弓手の膝口を射られて、美濃国青墓と言ふ宿にて死にけり。其の外子供方々に数多有りけり。尾張国熱田の大宮司の娘の腹にも一人有りけり。遠江国蒲と言ふ所にて成人し給ひて、蒲の御曹司とぞ申しける。後には三河守と名乗り給ふ。九条院の常盤が腹にも三人有り。今若七歳、乙若五歳、牛若当歳子なり。清盛是を取つて斬るべき由をぞ申しける。
Preview chapter常盤都落の事Preview
永暦元年正月十七日の暁、常盤三人の子供を引き具して、大和国宇陀郡岸岡と言ふ所に契約の親しき者有り。是を頼みたづねて行きけれども、世間の乱るる折節なれば、頼まれず。其の国のたいとうじと言ふ所に隠れ居たりける。常盤が母関屋と申す者、楊梅町に有りけるを、六波羅より取り出だし、糺問せらるる由聞こえければ、常盤是を悲しみ、母の命を助けんとすれば、三人の子供を斬らるべし。子供を助けんとすれば、老いたる親を失ふべし。親には子をば如何思ひかへ候ふべき。親の孝養する者をば、堅牢地神も納受有るとなれば、子供の為にも有りなんと思ひ続け、三人の子供引き具して泣く泣く京へぞ出でにける。六条への事聞こえければ、悪七兵衛景清、堅物太郎に仰せつ、子供具し、六条へぞ具足す。清盛常盤を見給ひて、日頃は火にも水にもと思はれけるが、怒れる心も和ぎけり。常盤と申すは日本一の美人なり。九条院は事を好ませ給ひければ、洛中より容顔美麗なる女を千人召されて、其の中より百人、又百人の中より十人、又十人の中より一人撰び出だされたる美女なり。清盛我にだにも従がはば、末の世には子孫の如何なる敵ともならばなれ。三人の子供をも助けばやと思はれける。頼方景清に仰せつけて、七条朱雀にぞ置かれける。日番をも頼方はからひにして守護しける。清盛常は常盤がもとへ文を遣はされけれども、取りてだにも見ず。され共子供を助けんが為に遂には従ひ給ひけり。さてこそ常盤三人の子供をば所々にて成人させ給ひけり。今若八歳と申す春の頃より観音寺に上せ学問させて、十八の年受戒、禅師の君とぞ申しける。後には駿河国富士の裾におはしけるが悪襌師殿と申しけり。八条におはしけるは、そしにておはしけれども、腹悪しく恐ろしき人にて、賀茂、春日、稲荷、祇園の御祭ごとに平家を狙ふ。後には紀伊国に有りける新宮十郎義盛世を乱りし時、東海道の墨俣河にて討たれけり。牛若は四つの年まで母のもとに有りけるが、世の幼ひ者よりも心様振舞人に越えたりしかば、清盛常は心にかけて宣ひけるは、「敵の子を一所にて育てては、遂には如何有るべき」と仰せられければ、京より東、山科と言ふ所に源氏相伝の、遁世して幽なる住居にて有りける所に七歳まで置きて育て給ひけり。
Table of contents
Inside this edition
- 01Full text
- 02義朝都落の事
- 03常盤都落の事
- 04牛若鞍馬入の事
- 05聖門坊の事
- 06牛若貴船詣の事
- 07吉次が奥州物語の事
- 08遮那王殿鞍馬出の事
- 09巻第二
- 10遮那王殿元服の事
- 11阿濃禅師に御対面の事
- 12義経秀衡にはじめて対面の事
- 13義経鬼一法眼が所へ御出の事
- 14巻第三
- 15熊野の別当乱行の事
- 16書写山炎上の事
- 17頼朝謀反の事
- 18巻第四
- 19頼朝義経対面の事
- 20腰越の申状の事
- 21義経都落の事
- 22住吉大物二ケ所合戦の事
- 23巻第五
- 24忠信吉野山の合戦の事
- 25巻第六
- 26忠信最期の事
- 27静若宮八幡宮へ参詣の事
- 28巻第七
- 29判官北国落の事
- 30大津次郎の事
- 31愛発山の事
- 32亀割山にて御産の事
- 33判官平泉へ御著きの事
- 34巻第八
- 35継信兄弟御弔の事
- 36秀衡死去の事
- 37秀衡が子供判官殿に謀反の事
- 38衣河合戦の事
- 39判官御自害の事
- 40秀衡が子供御追討の事
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